平成26年にカフェと雑貨のお店を始め、白色申告をした個人事業主のAさん。平成27年は会計ソフトを使わずに青色申告(65万)を目指します。※記帳にはExcelを使用していますが、手書きでも可能です。
事業がシンプルでなければ
Aさんの事業はシンプルでした。具体的には①人を雇っていない②事業とプライベートの重なりが少ない③固定資産があまりない④消費税は免税などの条件が揃っています。
実は、ある程度これらの条件が揃わないと、会計ソフトを使わない個人の青色申告は、手間がかかりすぎて、効率がかなり悪くなります。
今回は、会計ソフトを使わない個人の青色申告の限界点=会計ソフトを使ったほうがいいタイミングを7つご紹介します。
7つの限界点
【1】人を雇ったとき
人を雇った場合、人にかかわる処理項目がどうしても増えはじめます。具体的には、給与引き去りによる税金などの預り金、法定福利費や福利厚生費などの経費の増加。会計ソフトを使ったほうが対応しやすいです。
【2】事業とプライベートが一体のとき
事業とプライベートが一体になっている場合、経費の把握をより広い範囲で行わなければいけません。また、家事按分をしなければいけない項目が多くなり、その計算をしてくれる会計ソフトを使うのが便利です。
【3】固定資産が多くなったとき
通常の会計ソフトには固定資産を管理する機能がついています。減価償却費の計算の手間が減る。それだけでも会計ソフトを使う価値はあります。
【4】売上が1,000万超えたとき(消費税)
申告方法にもよりますが、消費税は取引ごとに、その判断をしていかなければいけません。消費税の計算は、会計ソフトを使ったほうが断然やりやすいです。
【5】計算が頻繁に合わないとき
青色申告は、左(借方)と右(貸方)が合わなければ計算が終了しません。この計算が合わないということが頻繁にあるようなら、それをチェックしてくれる会計ソフトを使ったほうが良いです。
【6】科目がたくさんになったとき
科目が10個、20個となってくると科目の集計をとるだけでも大変です。会計ソフトなら、集計が簡単にできます。
【7】繰越が面倒だと感じたとき
青色申告は1年で終わりではありません。申告した数字はずっと続けて使っていきます。そのため繰越という作業が必要になるのですが、これがわりと面倒です。会計ソフトなら通常は自動で行ってくれます。
お伝えしたかったこと
「会計ソフトは使ったほうがいいんですか?」
よくご質問いただくことです。結論は、前述のようにそれぞれの事業者の方のタイミングによります。
ただ、会計ソフトがあれば青色申告ができるというのは、大きな間違いです。会計ソフトを使うだけで、青色申告ができる訳ではありません。
会計ソフトを使わなくても、きちんとした青色申告はできる。青色申告に必要なのはソフトではなくて、やるという覚悟。
これが、今回の連載『会計ソフトを使わない個人の青色申告』で一番お伝えしたかったことです。
まとめ
会計ソフトを使わない個人の青色申告は可能ですが、事業者の方のタイミングによっては、会計ソフトを使うメリットは相当にあります。
経験からいうと、個人事業であっても青色申告をするなら会計ソフトを使ったほうがメリットが多いのではないかなと思います。
ただそれよりも、もっと大切なのは「やるという覚悟」それさえあれば、どのような方法であっても青色申告をすることができます。
会計ソフトを導入する際や青色申告を検討する際の参考にしてみてください。
『会計ソフトを使わない個人の青色申告』
第1回「お金の動きの記録」
第2回「科目の集計」
第3回「数値を当てはめていく」
第4回「確認しておくこと」
第5回「限界点」
◉編集後記◉
昨日は子供たちのプールの日。「寒かった?」と聞いたら「あつかった」と返されました。温水だからそうなりますよね。